[番外編]AFCとは?
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AFC
 全く同じ車なのに、お客さん同士で「あの人のエンジンは当たりだよ。」なんて言葉を耳にします。仕事柄、お客様に納車する新車のテストランでかなりシビアにエンジンの調子を診ていると「これ当たり!」と思う車に遭遇することが正直あります。
 では、この「当たりエンジン」と「普通のエンジン」、ナニが違いかと言うと大量生産の微々たるバラつきであり、バルブタイミング、ピストン&シリンダー加工精度、バルブ密閉度等の要素が深く関係し「当たりエンジン」は空気を「普通のエンジン」に比べて吸入する事が出来るエンジンと言えます。
 通常エンジンの燃料噴射は同一車種であれば寸分変わらないコントロールユニットにダウンロードされているプログラムにより実行され、エンジン回転数吸入空気量、アクセル開度、水温等のセンサーからの信号がコントロールユニットに送られこの情報を元に噴射する燃料の量が決定されます。エンジンが出力を出す為にはどれだけ多くの空気を吸い込んで、それに見合った適切な燃料が供給されればエンジンが本来持っている出力を出す事が可能となり「当たりエンジン」の多くはこのバランスが合っている固体と解ってはいましたが、現在のコントロールユニットは個々の車に合わせてプログラムを書き換える事は残念ながら出来ず、諦めざる得ませんでした。(某チューニングコンピューターは個々の現車合わせは行わず平均的データーへの書き換えとなります。)

 空燃費とは空気に対しての燃料の比率で理論上空気14.7gに対して1gの燃料が理論空燃比と言われ、一番燃焼状態が良いとされ、空気13.5gに対して1gの燃料での比率が出力空燃比といわれてエンジンがパワーを出す為の空燃比と言われておりますが、殆どの車両の場合通常、粗悪な燃料の使用、ノッキングからのエンジン破壊回避、燃焼温度高によるNOX低減等の理由により高負荷時の空燃比は10対1位の濃い状態にプログラムされています。
 しかし「当たりエンジン」は通常よりも多量の空気を吸い込む為、この様な状況でも適切な空燃比が得られ、空燃比データーロガーで計測すると概ね理論空燃比~出力空燃費間に収まっている事が解ります。

 では「普通のエンジン」を「当たりエンジン」に変えることが出来るか?

  セッティング中は排気温度の測定、空燃比計測等行い必要以上なセフティーマージンを削る事や必要とされる燃料噴射量の増量を行うことにより、適切な空燃比に調整しエンジンのポテンシャルをフルに引き出す事が出来るようになり、さらに一台ずつ実走を行って吸入空気量を計測するエアーフロー信号を補正信号に変換する事により、装着車両を「当たりエンジン」にする事が可能となりました。
 応用編としては一台一台じっくり時間を掛けてセッテイングを行う為、エアークリーナーやサクションパイプの交換、マフラー交換等、吸排気系統のチューニングで低回転でのトルクダウンにも有効に作用し、リニアな加速感も得る事も可能で最後の「帳尻合わせ」としてお使い頂けます。


取り付け
写真1 配線/エンジンルーム
写真1 配線/エンジンルーム
 バッテリーのマイナス端子を外し、車両ハーネスとAFCのハーネスを接続します。接続する配線は、

 ・電源
 ・アース
 ・エンジン回転信号
 ・スロットル信号
 ・ノック信号
 ・エアフロー信号 等

 車種毎に接続する場所、方法等が異なりますのでノウハウが必要となってきます。誤った接続をすると、エンジン破損にも繋がりますので注意が必要です。ここで単に接続と言っても、絶縁はもちろん、キレイに見せるための配線の取り回しにも注意を払っております。
写真2 ALFA-GTへのAFC取付け例
写真2 ALFA-GTへのAFC取付け例
 後は、配線とAFCを繋げばサブコンとして動作します(写真2)が、そこで終わりではありません。理想的な空燃比を実現する為には、高精度のワイドバンドO2センサーを使用し、回転数毎に細かくセッティングしなければなりません。その為に車両をリフトアップし、エキゾーストパイプに付いている純正のO2センサーを取外し、セッティング用のO2センサーを取り付けます。
写真3 カプラー/データロガー用
写真3 カプラー/データロガー用
 次にデータロガー用に回転信号などを取り出す為、車内側に配線しカプラーを取り付けます(写真3)
写真4 データロガー及びPC
写真4 データロガー及びPC
 当店にて取付けて頂いたお客様の車両には、すべてこのカプラーも取付けており、再セッティングの際にも簡単にデータロガーを接続できるようになっています。ここまでで車両側への配線は一旦終了し、各配線にデータロガー本体、モニタリング用のPCを接続します(写真4)

 このような流れでサブコン取付け及びセッティング用のデータロガーの準備を行います。


セッティング
写真6 セッティング風景
写真6 セッティング風景
 いよいよセッティングに入りますが、まずはO2センサーの校正を行います。全域で、数値上での最適な空燃比調整を行ったのち、実際の走行にてフィールに基づいて若干の補正が加えられて完成となります。
図1 AFC補正前
図1 AFC補正前
 高回転高負荷状態において、空燃比が濃い方向にセッティングされている。
図2 AFC補正後
図2 AFC補正後
 全体的に、理論、出力空燃比に沿ったセッティングを行った状態に補正。
図3 AFC取り付け、セッティングの流れ



チーフメカニックからの総評
 「エンジンの音が変わった!」AFCを取付けたお客様の試乗から帰ってきた時の興奮した第一声を良く耳にします。

 空燃費を調整する為のセッテイング中、耳はエンジンから聞こえる排気音、メカノイズ、遠く微かに聴こえるデトネーションノイズ等に耳を澄ませ、目はレブカウンターとAF計に釘付けとなり、足は微妙なアクセルワークを行う為、集中力を高め一つ一つのセッションを刻みます。一周7分足らずの周回路で一周ずつログデーターをPCに落とし、チェックしてAFCの刻んだ12箇所のデーターと照らし合わせ、最良な空燃比となる様微調整を繰り返し、最終的に自分のフィーリングに合う様に最終調整を行い完了となるまでの総走行距離が一晩250Kmを超えることは珍しくありません。

 全てがバランスし、良い燃焼状態を得られたエンジンのエキゾーストノートは澄んだ綺麗な音に変わり、アクセルペダルに伝わってくる微振動も消えてなくなり、全てのセッティングが終わって帰途に着くとき、コックピットは達成感に包まれ初めて疲労と集中から開放されます。

 メカニックの技量を出せる仕事が少なくなっている日々の中で「自分の味」を表現出来る数少ない作業内容、今後ともお客様に感動してもらえる仕事を一つ一つ積重ねますのでご期待下さい。
08/jan 07 tady
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